留蔵の秘密ほどでもない秘密( ´∀` )⑤
こんにちは。「本家留蔵」の嫁です。
今日は前回に続いて、「本家留蔵」の看板商品でもある【ごま漬け】の話です。
千葉・九十九里の郷土料理【ごま漬け】の誕生については前回のとおり。
今回は、夫が頑なに守っている伝統の製法についてです。
原料となるカタクチイワシは道具を使わずに、一匹一匹、手で頭とお腹を取ります。
その後、きれいな水で丁寧に血抜きをします。
塩漬けした後は独自の合わせ酢に漬けます。
そして酢から上げ、黒ごま・生姜のみじん切り・みかんの皮を敷いた小箱にいわしの身を丁寧に並べ、さらに黒ごま・生姜・みかんの皮の順で重ねていき、既定の段数に大きな漬物石をのせます。
夫いわく、「一緒くたに混ぜて漬け込むのではなく、京都の千枚漬けの様に交互に重ねていくのが重要な仕事!重石を一匹一匹均一に掛けるため」なのだとか。
最後に、ここが重要な“伝統ポイント”です。
その昔、【ごま漬け】は、丸い木の桶に入れて漬物石を乗せて常温で保存していました。
保存食ゆえ、年末から春頃までの2~3ケ月ほどは食べられていたといいます。
さすがに木桶で漬けることはかないませんが、「本家留蔵」では40kgの漬物石を乗せてしっかり漬けています。
すでに塩と酢で締めてあるので、そのままでもおいしそうなのですが、夫いわく
「そうじゃないと【ごま漬け】とは呼べない、そんなのは(ごま付け)!」
塩と酢で締めただけのものと、漬物石を乗せて水分を出したものの違いはあるのかしら。
私がお嫁に来たばかりの頃、食べ比べてみてその違いに驚きました。
漬物石を乗せてしっかり「漬けた」方は、骨がなれた食感となって身の柔らかさと近くなり、食感に一体感があります。酢の酸味もマイルドに。
全体的にしっくりなじんだ味わいで食べ飽きません。
百聞は一“食”に如かず。漬物石の伝統製法を守ることに納得しました。
そうそう、【ごま漬け】のおススメの食べ方をひとつ。
オニオンスライスを添えて、オリーブオイルをひと回し。
ほんの少しお醤油をかけると、ワインにもよく合う一品になりますよ。
製法を守る伝統食も、愉しみ方はアップデートが大事ですね。
https://tomezo.shop-pro.jp/?pid=151361929
次回は5代目留蔵の女将(母)についてご紹介する予定です。